宇祖田都子の短歌の話

森羅万象を三十一音に

令和五年三月の自選短歌五首

 日に日にあたたかくなってきますね。桜は散り始めました。色彩の息吹き返す庭や畑に飛び交う虫の輝き。水の匂い。春を忘れていたことに気づかされる毎日です。

 三月も好きな短歌をいくつか作ることができて、短歌の「文法」みたいなことを考えたりする月になりました。瀬戸夏子さんの『はつなつみずうみ分光器(左右社)』から歌を拾い始めていて、2000年はもう24年も前になるのだな、なんて「無」になったりして過ごしています。

それでは、令和五年三月の自選短歌五首です。

令和五年三月の自選短歌五首

3月23日 RIUMさんの#連想短歌 #イラスト詠
ガチャガチャに死んだ何かが入ってる脚がたくさんある何かの死

 

3月23日 『 私 』
私書箱はザトウクジラの屍の歌を再生するオルガンに

 

3月27日 『 気球 』
2番線気球が通過いたしますそっと瞼を閉じてください

 

3月30日
ジャンプして桜の下でジャンプして燃え尽きるまでジャンプし続けて

 

3月30日 『 ミミズ 』
不用意に掘り起されて身悶えるミミズみたいな告白直後

 

さあ、新年度ですね。

発見を発明しつづけていく短歌を作れるように暮らしていきたいと思います。