宇祖田都子の短歌の話

森羅万象を三十一音に

令和三年七月自選短歌五首

聞き取れた単語がレインだけなのは

おそらくノアの方舟だから

            『 レイン 』

放課後の静謐な夜は

白犀の角のタトゥーと孤独をかこつ

              『 独 』

アリクイかナマケモノかの未来世に紛れ込ませておくアルマジロ

朝の窓背後の影はゆく夏の

ロマンスだつたはずの言霊

死に蝶の風に舞ふことなかりけり

たましひといふ反重力は

               以上