宇祖田都子の短歌の話

森羅万象を三十一音に

郵便ポストになる屍(短歌二十首連作)

少し前に作って「カクヨム」に載せてた短歌連作を、こちらに再掲載いたしました。

例によって、「マンダラート」と「マインドマップ」を使ったものです。

 

郵便ポストになる屍(短歌二十首連作)

 

 1.蟻の巣の小さな穴に差し込んだ舌先のそれは澱んだ水です

 

 2.頭痛が頭皮の痛みなら脳みそを掻き出すまでもないね希望は

 

 3.脱衣所の地下に羊水だけで育った雷魚がいてそれがおいしい

 

 4.信じられる? こんな路肩で溺死した老人がいてその人の歌碑

 

 5.歩道橋が盗まれた町のジョナサンで君と夜明けの声で論じた

 

 6.住所を求めスカートの下に潜り込みたがるな本籍地はその下だ

 

 7.カミキリムシが飛んでくるからもう終わりポストも伐採されてしまった

 

 8.幻の鳥が幻の卵を抱いているスーパーの屋上を見ずに浅瀬においで

 

 9.痒いのが嫌だったから国道まで降りてきたのに天使だなんて

 

10.石を投げるとき持ちやすい石を選んで投げていた自分が夕焼より大嫌い

 

11.本気? ブーメランで月を毀すつもり ならわたしは綿菓子に住む

 

12.この手紙は貨物列車に永遠に轢かれてる人だけに送ろう

 

13.図書館の閉架を墓にできないか相談できる人になりたい

 

14.焼くのは嫌! 巣ごと丸呑みした蜂のDNAは有効だから

 

15.お坊さんお経と落語の違いとかどーでもいいよ輪廻しようよ

 

16.悪いことしたら地獄に落ちるけど地獄に落ちるのは悪いこと?

 

17.言葉でじゃなく生き方で伝えてくるバイブレーションがくすぐったくて

 

18.脚だけで郵便ポストってわかったけど本当に不幸なのは脚があること

 

19.水に浮く骨をあつめて平和とかお金持ちとか書いて流そう

 

20.ボトルメール即身仏に狂わない目覚まし時計を仕込んで眠る