推定微罪 十首 ―たにゆめ杯4(2023年)選外
はじめに
2023年12月30日。たにゆめ杯4の結果が発表になりました。
drive.google.comm毎回、選考過程を丁寧に示し、入選作への評もひじょうに読み応えがある、じっくり読み込むべき報告資料です。
自作の反省点としては「連作とは?」という基本的な認識が甘すぎたこと尽きます。
詳細は前回のブログに書いたとおりです。ある最終目標に向けて緻密に計画をたてて、着実に実現していくこと。わたしはそれが大の苦手で、行き当たりばったりの寄せ集めが、意外な雰囲気を醸し出てくれはしまいか、とそちらばかりに期待してしまうのです。実際は、綿密に進めていく上で、どうしても生じてしまう不可避的な齟齬や限界が孕む不随意性にこそ、「意外性」は可能なのであり、わたしの方法は、単にズボラな神頼みにすぎませんでした。
「わたしは、この連作でどんな感触を再現したいのか?」を、追求していかねばなりませんし、この姿勢において「連作」には「短歌」でも「俳句」でも「小説」でも「水彩」でもなんでも当てはまるのだということを、十分に叩き込まねばならないと、年の初めからガタガタふるえている次第です。
と、長くなりましたが前置きはこれくらいにして、「たにゆめ杯4」応募選外作を掲載いたします。これは、いつでも振り返り、反省し、推敲できるようにするための方便というつもりです。
それでは。
推定微罪 ―たにゆめ杯4(2023年)応募選外作
カーテンに透ける朝陽を滅亡のフィルターにして微笑む微罪
青空がバックネットを突き抜けて教室に来るまであと二分
五線譜に一度捕らえた鳥たちを英語ノートへ貼り付けていく
街角の悪意を拾い私書箱へ届けるだけの課外活動
カフェオレに過度な甘さを感じつつ進路希望に伏線を張る
讃美歌を着信音にした姉の無言電話に折り返さない
赦します ただそれだけをしたためた喪中葉書を紛れ込ませる
どの国で何に使うか聞きもせず作って納品したプラカード
留置所に備え置かれた砂時計わたしのせいで数秒狂う
守られることなく消えた約束を夜空にずっと光らせておく
以上