宇祖田都子の短歌の話

森羅万象を三十一音に

2021-01-01から1年間の記事一覧

『想い出に観覧車』たにゆめ杯2応募作

たにゆめ杯2応募短歌連作『想い出に観覧車』について 結果は、落選でしたが作る過程がとても楽しい連作になりました。 連作のおおまかな構成の考えかたには「経時性」と「共時性」があると思います。「経時性」は因果(ストーリー)で、「共時性」は縁起(…

令和三年十一月自選短歌五首

金目鯛おいしいですと昨年の自分が書いたハガキを隠す 『 自由詠 』 普通ならクロワッサンのはずだけど普通じゃないからクイニーアマン 『 普通 』 僕たちは大きく失速した光だから身体はこんなに遅い 『 速 』 ほぼ皆既月食を見た夕食の前に菓子パン三個も…

煩悩短歌推敲指南 五

KISARAGIというメルマガに連載している内容をまとめていこうと思います。 タイトルは「煩悩短歌推敲指南」といいます。「指南」といっても、自分で自分の短歌を詠み直してみようということです。本当にもう、わたしのためだけの…… 直す短歌は、昨年…

令和三年十月自選短歌五首

短歌って難しいなと、このごろとくに感じています。 作りたい短歌の尻尾を追いかけて 短歌に尻尾があってもいいの? という気分の十月でした。 茶柱の立てば喜ぶ人といてラ・ムーは菊池桃子のバンド 『 解散したバンド 』 ものすごく大きな犬が引っぱって曲…

うたそら 第5号 2021年11月 連作の部 ひと言感想文

『うたそら』は千原こはぎさんが刊行なさっている短歌集です。 短歌|歌集『ちるとしふと』(書肆侃侃房)・『これはただの』刊行|短歌誌「うたそら」編集鳥|うたつかい編集部|鳥歌会 @torikakai|@kohagi_bot|「あいたいとせつないを足して2で割ればつま…

令和三年九月自選短歌五首

鉄棒の補助する人が体育館を出るとき使う洒落た靴べら 『 靴 』 フルートが微かに鳴っている午後を雨と未練が時折過ぎる ドクダミの茂る跡地はわたくしの思い出せない前世のように 透明なトワイライトに同棲は改行のない手紙のように 『 同棲 』 玉葱を微塵…

令和三年八月自選短歌五首

朝の窓背後の影はゆく夏のロマンスだつたはずの言霊 まるつけて提供臓器にまるつけて免許証裏にもっとまるつけて 『 許 』 オブラートおいしく進化しそこねて生活感のないワンピース 『 進 』 オルガンは建設途中自然保護団体からの差し入れは葱 『 然 』 た…

令和三年七月自選短歌五首

聞き取れた単語がレインだけなのは おそらくノアの方舟だから 『 レイン 』 放課後の静謐な夜は 白犀の角のタトゥーと孤独をかこつ 『 独 』 アリクイかナマケモノかの未来世に紛れ込ませておくアルマジロ 朝の窓背後の影はゆく夏の ロマンスだつたはずの言…

ことばをはなれるアプリ

短歌もどき twitterを始めてから、いろいろな短歌に出会う機会が格段に増えました。それはとても刺激的で、豊かな体験です。そして、それと並行して、自分が作っている短歌がつまらないと感じることも増えました。 つまらない理由は明白で、「ことば」で「説…

令和三年六月自選短歌 五首

短歌なんだから短歌を作りたいと切実に思いながら短歌ではなく散文で、文意で伝えようとしてしまう。言葉に馴れすぎているという自覚。もっと言葉の使いづらさや、意味から解き放つような話法をと思いながら未だそれがどのようなものなのかを言葉にできなず…

屋上獏部 Ⅱ・Ⅲ

うたそら(千原こはぎさん製作)は第二号・第三号と発行が続いていて、私はこちらの八首連作の部に、屋上獏部にて参加しています。 うたそら。どうか是非お手にとって読んでいただきたいです。ネプリ、ダウンロードなどはこちらのリンクからどうぞ。http://k…

令和三年五月自選短歌 五首

踊り場の窓から薔薇を投げ捨ててあなたはどうせ幸せになる (屋上獏部 ナナコへ) 母死にしあとも毎年薔薇の咲く庭を夢見る 幸せになる 『 薔薇 』 #うたの日 Yシャツのカフス部分にアイロンを押しあてるとき蠢く何か 暮れなずむどこかの星も午後六時塩とコ…

煩悩短歌推敲指南 四

KISARAGIというメルマガに連載している内容をまとめていこうと思います。 タイトルは「煩悩短歌推敲指南」といいます。「指南」といっても、自分で自分の短歌を詠み直してみようということです。本当にもう、わたしのためだけの…… 直す短歌は、昨年…

令和三年四月自選短歌五首

令和三年四月自選短歌五首 終日の座学を終えたパイプイスたたまれた後しばらく温い 『 座 』#うたの日 一筋のラインが窓に現れて受胎告知はたしかな奇跡 『 受 』 #うたの日 帰途の吾が背後は異郷ふるさとも旅の途上のまほろばなれば #異国短歌応募歌 銃・翼…

令和三年三月自選短歌五首

「小田原」を「ホニャララ?」と聞き返されたときにわたしが咥えてたもの 『 ホニャララ 』 #うたの日 一本のうどんが気炎吐きながら角を曲がっていく春の昼 『 うどん 』 #うたの日 星空のままにしておくガラス製ジグソーパズルのところどころは 約束をすっ…

煩悩短歌推敲指南 三

KISARAGIというメルマガに連載している内容をまとめていこうと思います。 タイトルは「煩悩短歌推敲指南」といいます。「指南」といっても、自分で自分の短歌を詠み直してみようということです。本当にもう、わたしのためだけの…… 直す短歌は、昨年…

#うたそら 屋上獏部 八首と、ナナコ(連作継続中)

【短歌誌「うたそら」が完成しました!】 PDF(スマホPC閲覧用、コンビニ印刷用面付け版)は以下のサイトからDLしていただけます。 http://kohagiuta.com/utasora/01/ B5サイズ/56Pの冊子となります。211名の1371首の短歌をお楽しみください 引用元:千原こ…

令和三年二月自選短歌五首

アルファベットチョコは義理でも律儀にもイニシャル揃えて渡したりして 書き記す自分の名さえ新鮮な なにも諦めないと決めた日 缶詰の白桃が好きだった父の骨壺を溢れる頭蓋骨 コンビニのレシートにある支店名 気にするほどのことじゃないけど シロナガスク…

煩悩短歌推敲指南 二

KISARAGIというメルマガに連載している内容をまとめていこうと思います。 タイトルは「煩悩短歌推敲指南」といいます。「指南」といっても、自分で自分の短歌を詠み直してみようということです。本当にもう、わたしのためだけの…… 直す短歌は、昨年…

令和三年一月自選短歌五首

短歌ってどうすれば短歌になるんだろう。 わたしは、ずっと散文を書いてきた。 だから、散文の脳になっていて、散文の脳では形容詞はご法度だった。 短歌はレトリックだ。短歌はイリュージョンを盛る器だ。 これが、今のわたしの短歌観で、そのための試作を…

煩悩短歌推敲指南 一

KISARAGIというメルマガに、最近連載を始めました。その内容を、こちらに少しずつまとめていこうと思います。 タイトルは「煩悩短歌推敲指南」といいます。「指南」といっても、自分で自分の短歌を詠み直してみようということです。本当にもう、わた…

令和二年十二月 自選五首

令和二年十二月の うたの日 五選 十二月。まったく駄目だったという印象しか残っていないのですが、振り返ればそれなりに、好きな短歌を詠めていたのが、救いです。これが、わたしの十二月の自選五首です。 2020年12月03日『転』心 0 音 10 横たわり手足を伸…

#大晦日108首チャレンジのこと

#大晦日108首チャレンジ 当日も仕事だけれどできるかな…… なんか降りてくるかな…… なんかを祓うまえになんかに憑かれないとな…… 宇祖田都子 #参加表明ではない 引用元:午後4:53 · 2020年12月26日·Twitter Web App Twitterをしていなければ、わたしはこれほ…