宇祖田都子の短歌の話

森羅万象を三十一音に

「#2023年自作短歌五首を呟く」と「2023年自作短歌拾遺」

はじめに #2023年の自選五首を呟く をやってみました。 その中での気づいたのは、「自分がどんな短歌が作りたいのかを考える余地があるということは、たぶんまだ、ちゃんと短歌に取り組めていないのだろうな」ということです。わたしは悪い意味で「アルチザ…

推定微罪 十首 ―たにゆめ杯4(2023年)選外

はじめに 2023年12月30日。たにゆめ杯4の結果が発表になりました。 drive.google.comm毎回、選考過程を丁寧に示し、入選作への評もひじょうに読み応えがある、じっくり読み込むべき報告資料です。 自作の反省点としては「連作とは?」という基本的な認識が…

大晦日108首チャレンジ2023 完走報告

はじめに 準備については、だいたい前回のブログに書いた通りです。 12×9=108 家にあった12人の歌集から一首ずつを選び、その世界観で九首ずつ短歌を作っていきます。その際、せっかく12首を引いてくるのでそれぞれを1月から12月に割り当て歌を作る手…

大晦日108首チャレンジ2023 にむけて

Xになって初 過去3回はtwitterでチャレンジしてきた大晦日の風物詩。4度目となる今回はXとなって、この先いつまで続けられるのかなどと危惧しながらの挑戦になります。こうした発表と交流の場があるのがどれほど素敵なことかと感謝しつつ、精一杯取り組み…

郵便ポストになる屍(短歌二十首連作)

少し前に作って「カクヨム」に載せてた短歌連作を、こちらに再掲載いたしました。 例によって、「マンダラート」と「マインドマップ」を使ったものです。 郵便ポストになる屍(短歌二十首連作) 1.蟻の巣の小さな穴に差し込んだ舌先のそれは澱んだ水です …

屋上獏部 12~16

はじめに 千原こはぎ様による隔月発行の短歌誌「うたそら」へ投稿をつづけている「屋上獏部」。 kohagiuta.com 毎回、八首連作の規定に沿って八首ずつ作り続け、11月発行予定の「うたそら17」投稿分までで、136首となりました。 これまで、このブログに11ま…

CD短歌夏フェス2023―sideB 自作ライナーノーツ

前回に引き続き、CD短歌夏フェス2023関連ブログです。前回のsideAでは、好きな短歌レビューをおこないましたので、 今回はsideBとしてわたしの短歌について書きたいと思います。今回の短歌も、マンダラシートとMindomoというアプリを用いて作成しています。 …

CD短歌夏フェス2023 ―sideA 好きな短歌レビュー

今年も暑かった、CD短歌夏フェス2023。 cdtanka.wixsite.com 8月26日(土)20時~24時 総勢48名のパフォーマンスがXのTLを席巻しました。わたしは20時20分から4分間の出番をいただいて、8首10ポストのセットリストをお届けいたしました。 主宰の泳二様によ…

令和五年七月の自選短歌五首

そういえば、先月は自選してなかったみたいです。読みたい(詠みたいではなくて)短歌が作れなくて、あ~あと思うことが多い日々です。 そんな中、suiuという短歌の投稿サイトに出会い、そちらは「お題」などにこだわらず、その静謐な雰囲気に浸ることで、な…

獅子座同盟11 より 好きな短歌の感想を書きます

獅子座同盟は獅子座生まれの夏の風物詩です。 kohagiuta.com 千原こはぎ様主宰のさまざまな短歌集は、短歌を作るうえでとてもありがたいモチベーションとなっています。本当にありがとうございます。 11年目を迎えた「獅子座同盟」。わたしは多分、9回目くらいか…

『うたそら 15』から引いた短歌(連作)の感想です

はじめに 『うたそら』という千原こはぎ様が定期発行なさっている短歌誌があって、わたしは創刊号から、連作八首の部へ「屋上獏部」を投稿しています。締め切りから発行までの光の速さにつねに驚かされながら、投稿作の感覚が新鮮なうちにみなさまの作品を鑑…

見覚えは無いが確かに自分だと分かる二体の亡骸がある ―『中庭と三階』 五十首(再録)

2020年11月25日 虹蔵不見(にじかくれてみえず) 過去を拗ね未来を喪失した四月観光ビザで入った高校 中庭へ身を投げ出した雪柳池に飛び散る春のスペルマ ただそこに取り残されてあるだけの一基の噴水塔の筒先 陰鬱な直方体は旧校舎一週間は籠城可能 錆び付…

短歌の身体

以下は、2023年6月18日 KISARAGI vol.1201 に掲載した「宇祖田都子の身辺雑記 その5 それから2023年6月18日までのわたし」の内容に、野村日魚子さんの川柳と短歌の引用を加えたものです。 ここから本文 鬱陶しいという文字だけで頭痛…

令和五年五月の自選短歌五首

梅雨ですね。 雨の多い今年の梅雨。みなさま無事におすごしでしょうか。知人が家を失って会社の寮へ一時避難をするお手伝いをしたり、雨漏りへの対応をしたりと、気の抜けない週末を過ごしました。 さて、5月は短歌の焦点が合わないような、もどかしい月と…

令和五年四月の自選短歌五首

ゴールデンウイークは三連休がとれました。 とはいえ普段の活動範囲を超えることはなかったのですが、短歌活動としては、#いわくのつけく2 に取り組むことができました。このことについては、後日ブログにまとめようと思います。 さて、四月は自己発信の短…

令和五年三月の自選短歌五首

日に日にあたたかくなってきますね。桜は散り始めました。色彩の息吹き返す庭や畑に飛び交う虫の輝き。水の匂い。春を忘れていたことに気づかされる毎日です。 三月も好きな短歌をいくつか作ることができて、短歌の「文法」みたいなことを考えたりする月にな…

令和五年二月の自選短歌五首

2月は28日までしかない月なのですが、わりとたくさん短歌が作れてよかったです。短歌ならではの表現。に少しは近づけたかなという気がしなくもないかもしれない歌も垣間見えたり見えなかったりするように思ったりなんて、とことん弱気ではありますが、短…

令和五年一月の自選短歌五首

年が改まって一ヶ月が過ぎました。お正月気分もないまま温かな一月だったと感じています。最近、万年筆や文具の専門店が東京へ移転してしまって、閉店の一日を取材していました。それは、ミニコミサイズに編集して脱稿したのですが、いつか、身辺雑記として…

屋上獏部 Ⅹ・Ⅺ

千原こはぎ さん編集発行の「うたそら」の八首連作のコーナーへ毎回送っている 『屋上獏部』を、自身のために定期的にまとめています。 今月初め(元旦!)に「うたそら12」が発行されました。 千原こはぎ @kohagi_tw 1月1日 あけましておめでとうございま…

大晦日108首チャレンジのこと2022年版

と、いうわけで昨年2022年12月31日。三度目となる大晦日108首チャレンジに取り組みました。 2020年は「一〇八煩悩」 2021年は「手帳」 というタネを仕込んでいましたが、今回はおなじみの「マンダラート」からワードセットを作りました。…

令和四年十二月の自選短歌五首

2022年も終わりましたね。 大晦日はとくに短歌三昧の素敵な一日になりました。 朝から、「大晦日108首チャレンジ」にとりくみ、夜は「CD短歌年越し2022」 【♪】リビングに螺旋階段ある家のグランドピアノみたいに謙虚 で、初めてボランティアも経験…

屋上獏部 Ⅷ・Ⅸ

わたしが、勝手に『屋上獏部』を投稿する場所にしている千原こはぎ様 @kohagi_tw の「うたそら」第12号の締め切りが今月末です。 【短歌誌「うたそら」第12号】 今月末が〆切です 募集:8首連作・テーマ詠「温」・一首評 〆切:12月31日 24時(1月初旬発行…

令和四年十一月の自選短歌五首

野村日魚子さんの『百年後 嵐のように恋がしたいとあなたは言い 実際嵐になった すべてがこわれわたしたちはそれを見た』 toron*さんの『イマジナシオン』 穂村弘さんの『ラインマーカーズ』(小学館文庫版) の三冊を購入して刺戟をうけた今月。 さらに『音…

令和四年十月の自選短歌五首

情景を描く短歌もいいし、心情をぶつける短歌もいい。短歌っぽい短歌は安心感があるし、短歌っぽくない短歌には驚かされる。言葉の実験みたいな短歌にも魅かれる。文語の格調も口語の気取らなさもどっちも好きだし、破調や自由律にもドキドキする。事実でも…

令和四年九月の自選短歌五首

空と風が秋めいてきました。 うたの日 と RIUMさんのお題 で短歌を考える毎日です。 『桜前線開架宣言』を読んで、好きな歌人の方がまた増えました。 その上で、わたしはどんな短歌を詠みたいのかぐるぐるぐるぐるしています。 それでは、今月の自選短歌五首…

令和四年八月の自選短歌五首

夏らしい夏を満喫できました。もう九月ですね。八月は、好きな短歌に指先が少し触れたような気がしました。イベントも楽しかったし、作ることも読むことも楽しむことができた八月でした。 では、今月の自選五首です。 令和四年八月の自選五首 8月8日そうい…

#CD短歌夏フェス2022 sideB 宇祖田都子自作まとめ

sideAにつづきまして、こちらでは、自作をまとめました。 2022年8月6日は熱いフェスでした。 わたしの出演順は23時から23時4分。この持ち時間240秒のなかで、12個のツイートを用意していたわたしは、20秒に1ツイートするべく、コピペと画…

#CD短歌夏フェス2022 sideA 短歌鑑賞ライナーノーツ

2022年8月6日(土)20時からtwitter上で開催された総勢50名+α出演の熱いフェス。 @CDTNK_since2014【はじまります!】おおお待たせしました!ただ今より「CDTNK夏フェス2022」を開催します!今年の出演TANKArtistsは50名!!ハッシュタグは #CD短…

令和四年七月の自選短歌五首

明日(8月7日)は、CDTNK夏フェス2022開催日で、いまからワクワクしているのですが、懸念が一つ。わたしも23時から4分間の出演することになっているんですが、短歌ができていません。4分間をつかって何をどのくらいどんな風に披露すればよいかを考えな…

令和四年六月の自選短歌五首

短歌の形式だからこそ意味を成すこと。短歌の形式にして読んで初めて意味が透けてくるように作ること。散文ではとうてい通用しない配置の言葉が、短歌形式であることによって詩性を帯びること。そのとき言葉は、私は消え失せてしまうはず。そんな理想を掲げ…