宇祖田都子の短歌の話

森羅万象を三十一音に

2023-06-01から1ヶ月間の記事一覧

見覚えは無いが確かに自分だと分かる二体の亡骸がある ―『中庭と三階』 五十首(再録)

2020年11月25日 虹蔵不見(にじかくれてみえず) 過去を拗ね未来を喪失した四月観光ビザで入った高校 中庭へ身を投げ出した雪柳池に飛び散る春のスペルマ ただそこに取り残されてあるだけの一基の噴水塔の筒先 陰鬱な直方体は旧校舎一週間は籠城可能 錆び付…

短歌の身体

以下は、2023年6月18日 KISARAGI vol.1201 に掲載した「宇祖田都子の身辺雑記 その5 それから2023年6月18日までのわたし」の内容に、野村日魚子さんの川柳と短歌の引用を加えたものです。 ここから本文 鬱陶しいという文字だけで頭痛…

令和五年五月の自選短歌五首

梅雨ですね。 雨の多い今年の梅雨。みなさま無事におすごしでしょうか。知人が家を失って会社の寮へ一時避難をするお手伝いをしたり、雨漏りへの対応をしたりと、気の抜けない週末を過ごしました。 さて、5月は短歌の焦点が合わないような、もどかしい月と…