宇祖田都子の短歌の話

森羅万象を三十一音に

令和三年九月自選短歌五首

鉄棒の補助する人が体育館を出るとき使う洒落た靴べら

『 靴 』

フルートが微かに鳴っている午後を雨と未練が時折過ぎる

ドクダミの茂る跡地はわたくしの思い出せない前世のように

透明なトワイライトに同棲は改行のない手紙のように

『 同棲 』

玉葱を微塵切りする可能なら秒単位まで細かく刻む

『 秒 』