宇祖田都子の短歌の話

森羅万象を三十一音に

屋上獏部 Ⅹ・Ⅺ

千原こはぎ さん編集発行の「うたそら」の八首連作のコーナーへ毎回送っている

『屋上獏部』を、自身のために定期的にまとめています。

 今月初め(元旦!)に「うたそら12」が発行されました。

千原こはぎ 

 

あけましておめでとうございます! 【短歌誌「うたそら」第12号が完成しました!】 PDF(スマホPC閲覧用、コンビニ印刷用面付け版)は以下のサイトからDLしていただけます。 kohagiuta.com/utasora/12/ B5サイズ/28Pの冊子となります。74名の509首の短歌をお楽しみください #うたそら #短歌

毎号、読み応えたっぷりの短歌誌です。

さて、「うたそら12」ということは、屋上獏部もⅫでした。12号×8首=96首になったというわけで、次回で100首を越える計算です。

わたしは『屋上獏部』という連作と通じて、一体なにを描いてきたのか改めて考えみたいと思いました。

それでは、アーカイブ Ⅹ・Ⅺ をまとめておきます。

屋上獏部Ⅹ

夏休みピエロが怖い登校日部長がくれた異形のピアス

後肢で入道雲を蹴り上げよクレーコートに響くコーラス

三ツ折のスカート裏に少しだけ菫色したミクロコスモス

肌色のクレヨンだけでできている獏の神社のおみくじは「喉」

真っ黒な虹の真下で噛み締める薬草園に光の長さ

渦を巻く銀河宇宙が落ちてきた弁当箱の蓋ですくった

鰯雲みたいに床に敷き詰めた炸裂しないモザイクタイル

チョコレート通り過ぎてくコオロギの髭と足とを入れ替えながら

屋上獏部 Ⅺ

唐突に踊り場のある階段に読んだ形跡のないバイブル

「言葉おほければ罪なきことあたはず」大きな岩の夢を見る犀

ひつようなくんれんをするオルゴール閉じてはじめる指きりげんまん

教会とパン屋が見える屋上に唯一つながる非常階段

預言者トロンボーンを闇雲に伸ばして拾う君のハレルヤ

まぼろしのサイコロ二ついつまでも転がり落ちるラセン階段

本名は覚えてませんクリスチャンネームはミカといいます 母です

煙突の内と外とを行き来するメビウスの輪みたいな読書

以上です