宇祖田都子の短歌の話

森羅万象を三十一音に

令和四年三月の自選短歌五首

わたくしがあなたの事件になったならわたくしはもういなくてもいい

なんて思いました。わたしは、目に留めて下さった方の事件になるような短歌を作りたいな、なんて。そうして、言葉から意味を解き放つような短歌を、と。まだまだ全然なんですけどね。

それでは令和四年三月の自選短歌五首です。

 

尖塔の暗き小部屋に卒業のカリヨン奏す音楽教師


さくさくと手をとりあって踏む雪の跡は日なたの君から消える


全員の毎日を貼り合わすとき多分わたしはのりしろになる


満開になると桜に覆われる張出し窓が風紀を乱す


てのひらにホッキョクグマをかくまって残念だけど都会に染まる

 

日に日に、下手になっていく感じなのですが、作ることを諦められない。戦いというつもりはないし、義務でもないというのに、気に入った短歌ができない日は鬱々とします。短歌に憑りつかれている感じです。

それではまた。