宇祖田都子の短歌の話

森羅万象を三十一音に

屋上獏部 Ⅵ・Ⅶ

わたしが、勝手に『屋上獏部』を投稿する場所にしている千原こはぎ様 @kohagi_tw の「うたそら」第8号の締め切りが近づいてきました。

【短歌誌「うたそら」第8号】
〆切まで半月となりました✈️
募集:8首連作・テーマ詠「新」・一首評
〆切:4月30日 24時(発行5月初旬)
投稿先等の詳細はURLからご確認ください。
http://kohagiuta.com/utasora/
たくさんのご投稿をお待ちしております🌸

ということで、「うたそら」第6号・第7号へ投稿いたしました『屋上獏部』Ⅵ・Ⅶをこちらにまとめ、Ⅷを作る手掛かりにしようと思います。

屋上獏部Ⅵ

暗幕を張り巡らせた屋上に五年に一度くる回顧展

ワイヤレスイヤホンくらいの獏がいて耳へ入ってくる夢をみた

屋上に月の砂漠が鳴り止まず駱駝は西へ西へと進む

函という漢字にバクとルビを振る船乗りだった講師のTATTOO

バクという名前もいいけどピロティーという名前でもいいよね多分

先輩と獏と私を乗せたまま今を漂っている屋上

ピロティーに敷き詰められたピアニカを踏まずに歩くヒトコブラクダ

わたしたちかさぶただよね象よりも鼻も尻尾も短いけれど

 

屋上獏部Ⅶ

水滴が最高点に静止して落下し始める瞬間が獏

祭壇に伽羅焚き込めて三本の腕で奏でよ連弾の曲

昭和なら隠れ煙草の指定席眼下は錆色亞鉛の大河

階段を作る傍ら井戸を掘る緯度と経度を確かめながら

屋上の中空にある窓枠は吟遊詩人の捨てたイメージ

野球部の廃部にならば風紋の捕捉網かもバックネットは

残像は眼科の窓の磨硝子今朝焼け落ちた吊り橋の跡

屋上に立つバス停に似たるもの繋留所てふ文字は掠れて

 

以上です。

『うたそら』第8号。今からとても楽しみです。

それでは。