宇祖田都子の短歌の話

森羅万象を三十一音に

令和四年十月の自選短歌五首

情景を描く短歌もいいし、心情をぶつける短歌もいい。短歌っぽい短歌は安心感があるし、短歌っぽくない短歌には驚かされる。言葉の実験みたいな短歌にも魅かれる。文語の格調も口語の気取らなさもどっちも好きだし、破調や自由律にもドキドキする。事実でも創作でもいいな、と思うものは多い。わたしはどんな短歌を作りたいのかと悩んでいたけれど、いまはどんな短歌が作れるかを楽しみにするようになってきた。好きな短歌ができない夜はなかなか眠れなかったりする。自選五首をつくった夜はよく眠れる夜でした。

令和四年十月の自選短歌五首

10月2日  RIUMさんの#連想短歌 忘れ物
屋上に脱ぎ散らかしてあるスーツ急いで飛んでいったんだろう

 

10月6日 『 斎藤 』
さいとうと言われてすぐに斎藤と書いたあの子もライバルなのか

 

10月11日 『 自由詠 』
ラングドシャ ガラスのビルの崩れゆく海辺の都市の名前ではない

 

10月26日  RIUMさんの#連想短歌 ルール
二日目のカレーを食べるスプーンが皿に触れたら一回休み

 

10月31日  RIUMさんの#連想短歌 力
風も火も水も命も螺旋なの だから三つ編みするのわたしは